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イデー・モンテッソーリ/モンテッソーリ教育を愛する全ての人へ

2020.05.21 モンテッソーリ 認知症ケア実践施設 Elizabeth Lodge (オーストラリア > シドニー) ①


Elizabeth Lodgeとは

オーストラリアのシドニーにあり、モンテッソーリ教育の手法を用いた認知症ケアを導入している高齢者施設「Elizabeth Lodge(エリザベスロッジ)」をご紹介します。

 

(エリザベスロッジのエントランス)

 

モンテッソーリ教育はこれまで、子どもが対象の教育法と捉えられてきましたが、近年では高齢者や認知症患者のケアにも用いられています。人間の命に寄り添い、人生の最後まで自分で選択して、自立して、尊厳を持って生きること。それを可能する手段の一つが「モンテッソーリ教育法による認知症ケア」です。

 

ここエリザベスロッジは、その実践モデルとなるような施設です。2019年1月に日本初となるAMI(※)認定「モンテッソーリ教育法による認知症ケアワーカー養成コース」のトレーナー「アン·ケリー先生」と共に開発してきた施設です。

 

※AMI:国際モンテッソーリ協会

 

それでは、エリザベスロッジのマネージャーのレイさんにお話を伺いながら、こちらの環境や実践を2回に渡ってご紹介していきます。

 

(Ms. Rae.)

 

第一回目の今回は、「モンテッソーリ教育法による認知症ケア」の鍵となる「サイン」「役割」「活動」についてお伝えします。

 

サイン

認知症の患者に最後まで残る能力は、「読字能力」と言われています。そのために、施設の環境には、いたるところに物の名称や場所、やり方、メッセージをなど示す「サイン」が置かれています。これは、「自分が今どこにいるのか?」などの見当識を助ける役目もあります。

 

色のコントラストがあると認知症の方も文字が認識しやすいため、サインは、黄色の背景に黒い文字で書かれています。

 

テレビガイドや新聞の置かれた場所も、どこにあるのか一目でわかるようになってます。

 

お水も自分で飲めるよう、目立つサインと共にウォーターサーバーが置かれています。

 

ウォーターサーバーをどうやって使うかの手順も書かれています。

 

今日は、スタッフの中の誰が働いているのか分かるようになっています。

 

診療室の場所を示すサイン。

 

ラウンジへの方向を示したサイン。

 

「あなたの写真はどこでしょう?」と書かれたサインと共に、入居者やスタッフなどの幼少期の写真が貼ってあります。

 

いたるところに、何があってどうやって使うものなのかが分かるように置いてあります。

 

テレビやDVDのコーナーには、「見たいチャンネルや番組があれば、受付に知らせてください」と書いてあります。

 

Elizabeth Lodge内の郵便ポスト

郵便ポストも置かれています。

 

役割

モンテッソーリの認知症ケアでは、ひとりひとりに「役割」を与えています。

 

「利用者に特定の役割を与えることは、とても大切です。」と、マネージャーのレイさんはおっしゃいます。それぞれに決まった役割があることで、責任感を持ったり、他人の役に立っているという自信になったりするそうです。

 

例えば

・植物の水やり係

・施設の受付係

・新聞を配る係 などです。

 

(スタッフルームに貼られていた、役割名と名前)

 

自分の役割を忘れないよう、入居者のお部屋に「あなたの役割はこれ」という紙が貼られています。忘れている時には強制はせず、「○○するのを手伝ってくれませんか?」という声のかけ方をするそうです。

 

役割の場所には、担当者の名前と顔写真が貼ってあります。ここでは、「もう誰にも必要とされていない自分」ではなく、その人だけの役割があります。

 

一例をご紹介します。

 

植物の水やり係

施設内にある植物のお世話も入居者の役割です。

 

Elizabeth Lodge内のガーデニングの道具コーナー

ガーデニングが好きな人のために、種や道具が置かれています。

 

「庭の水やりをしてください」と書かれた張り紙。

 

施設の入口付近にあるお庭。植木がいくつか見えます。

 

別の場所にも、入居者がお世話している園芸コーナーがありました。

 

「水をやらないでください」というサインもあります。

 

売店の販売員

施設内には売店があり、利用者がお菓子や飲み物などを購入することができます。

 

分かりやすく並べられた商品。

 

他の人が販売員の役割を間違えてしないように、店内には担当者の写真と名前が貼ってあります。

 

 

活動

モンテッソーリの認知症ケアでは、その人の長所や人生史を融和させた「活動」も大切だと考えられています。活動を通して、残存機能の維持だけでなく、精神的に満足することで、認知症の周辺症状を減らすなどの効果もあるそうです。

 

そんな、手を動かして忙しく過ごすアクティビティをいつでも見つけられるように、環境の中に活動エリアが作られています。

 

Elizabeth Lodgeの部屋全体

(アクティビティルームの全体の様子)

 

もちろん、どんなことも強制はしません。その人がやりたくて興味のあるものができるよう、様々な活動が用意されています。

 

それではいくつかご紹介します。

 

洗濯物をたたむ活動。

 

ボールを色別にわける活動。

 

目と手の協応:球を動かす活動。

 

Elizabeth Lodge内の

目と手の協応:洗濯バサミをカゴにつける活動。

 

Elizabeth Lodge内の同一合わせコーナー

写真や絵カードを使った様々な一致させる活動。

 

Elizabeth Lodge内の塗り絵コーナー

色塗りの活動。

 

「編み物をしませんか?」と書かれた紙と編み物の道具。

 

Elizabeth Lodge内のミシンコーナー

ミシンも置いてありました。

 

誰でも弾けるように置いてある、エレクトーン。

 

壁にも自分から着手できるような、様々な活動が貼ってあります。

 

いかがでしたでしょうか。

 

次回は、上記以外にもこちらの施設で工夫されていることを、引き続きご紹介します。

取材者:あべようこ

 

Anglicare Elizabeth Lodge

46 Bayswater Rd, Rushcutters Bay NSW 2011Australia

https://www.anglicare.org.au/home

 

お知らせ

現在イデー・モンテッソーリでは、モンテッソーリ教育の子育てセミナー、講演会、園の先生向けの勉強会、研修などのご依頼を承っております。

 

過去の海外のモンテッソーリ園の事例紹介マンガを使ったセミナーなどでは、「モンテッソーリ教育による子どもの見方やたすけ方を、楽しく、わかりやすく知ることができた!」と大きな反響をいただいています。

 

ご希望の方は、こちらをご覧の上、お問い合わせください。


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