2017.10.19 AMI認定トレーナー インタビュー
montessori NORTHWEST①


 

アメリカのオレゴン州ポートランドにある、「montessori NORTHWEST(モンテッソーリ・ノースウェスト)(以下、MNW)」を訪ねました。

 

写真左:3-6歳国際トレーナー「サラ先生(Ms. SARAH WERNER ANDREWS) 」
写真右:6-12歳国際トレーナー「エリーズ先生(Ms. ELISE HUNEKE-STONE)」

 

 

MNWは、国際モンテッソーリ協会(以下、AMI)公認の教師養成所で、日本でも多くの先生方が憧れている、高名なトレーニングセンターです。

 

0歳~12歳までの子どもを教えるモンテッソーリ教師の養成コースの授業が日々行われています。

 

トレーナー(教師養成コースの先生)のサラ先生エリーズ先生にお話を伺いました。

 

 

 

AMIトレーニングの特徴

– まず初めに、AMIのモンテッソーリ教師のトレーニングと、他のトレーニングとの違いは、どんな部分でしょうか?

 

モンテッソーリ教師を養成するコースは何種類かあり、日本の場合、

「国際モンテッソーリ協会(AMI)」公認の資格

「日本モンテッソーリ協会」公認の資格

「日本モンテッソーリ教育綜合研究所」公認の資格 などがある。

 

それぞれモンテッソーリ教育の理論や教具の扱い方を学べるが、内容や取得までの時間などは異なる。

 

AMIはオランダに本部があり、その公認コースは世界中で開催され最も歴史が長い。

 

 

 

サラ:「それは難しい質問ですね。だってどこで勉強した人も皆きっと、自分が素晴らしい経験をしたと思っているはず。それに他のトレーニングコースの事を良くはわかりません。でも、自分たちのどこが素晴らしいかという事は分かります。」

 

– では、どんなところが素晴らしい点だと思いますか?

 

サラ:「AMIのトレーニング内容は、とてつもなく深く、長くて、包括的です。何よりも生徒に理論』を深く理解して欲しいと思っています。そしてその理論が、実践に活かされています。

 

(3-6歳コースのトレーニングのお部屋)

 

生徒たちの中に、他のコースのトレーニングを受けてから来る人がいますが、皆『一番の違いはそこだ』と言います。AMIのトレーニングで学んだ人は、提示一つをするにしても、ただするのではなく、何故その提示をするのかを分かってする。何故なら理論を理解しているからです。

 

そしてトレーニングによって大人自身が変わって行く』。大人も学ぶことで変化して行くんです。」

 

(トレーニングセンターに飾られている、過去のモンテッソーリ世界大会での絵画)

 

エリーズ:「そう。私も同じく『トレーニングの内容の深さ』が特徴だと思います。例えばね、他のコースのトレーニングを終えたのに、それでも更にここに学びに来る人がいますが、『どうやってうまく実践していくのか』について、まだ沢山の疑問を持っていると感じます。クラスで『どうやってその”魔法”を起こすか』とでも言ったら良いでしょうか?

 

しかし多くの人が、AMIのコースで学んで初めてこう思うそうです。

これで何故こうするのかが分かった!』『これからは自信を持ってできる!』と。」

 

(MNWの入口。フレンドリーなスタッフと犬が出迎えてくれました。)

 

– それがAMIのコースの特徴なのですね。それでは、こちらのトレーニングセンター(MNW)の特徴は、何でしょうか?

 

 

 

MNWの特徴

サラ:「いくつかのレベル(教える対象の子どもの年齢)の異なるコースが同時に開かれている、という事です。今は3-6歳コースと小学生コースが一緒に開かれていますが、夏には0-3歳と3-6歳の各コースを一緒に行います。

 

そしてここでは、コースを越えて一緒に本を読んだり、ディスカッションしたり、講義などを行う事もあります。だからここに来る人は、自分の勉強しているレベル以外の内容も知る事で、『モンテッソーリ教育の理論は断片的なものではない』と理解できます。

 

(図書コーナーに置かれたモンテッソーリ関連の新聞、雑誌)

 

エリーズ:「また、ここのトレーナーは皆、多くの現場経験があります。だからより実践的な内容だし、子供たちとの沢山の面白いエピソードもお伝えできるんです。」

 

 

 

生徒への願い

実際にトレーニングを受けた生徒達には、どんな先生になって欲しいでしょうか?

 

エリーズ:「私たちは生徒たちに『あなたは3-6歳の資格者で、私は小学生の資格者ね。』ということではなく、モンテッソーリ教師』として振舞って欲しいと思っています。モンテッソーリ教師として最も重要な事は、どのレベルでも同じなんだと分かって欲しいのです。

 

サラ:「また、卒業後も絶えず学び続けて欲しいと思っています。

 

私たちは、モンテッソーリ教育理論の『人間の傾向性』を学んだ上で、それが自分たち大人にもどう当てはまるのか』を一緒に考えて行くようにしています。

 

人間の傾向性

 

敏感期や吸収する精神が、幼児期特有の力であるのに対し、人間の傾向性は一生続く。傾向性は、すべての人間に備わった衝動であり、人間らしい特徴を獲得するための後押しをしてくれるものである。(例)探求したい、見当識(今どこにいるのか知りたい)、秩序、コミュニケーションを取りたい、仕事をしたい、繰り返したい、間違いを訂正したい、正確性を追求したい、抽象化したい、想像したい、数学的に考えたい、自己完成したい、など。

 

idées montessori「はじめに~モンテッソーリ教育とは~」より抜粋

 

 

(3-6歳コースのトレーニングのお部屋)

 

 

 

傾向性に沿って学ぶこと

サラ:「我々は、人間の傾向性』という考え方が子どもにも当てはまるという事を知っていますよね。だから、大人も同じような環境下にいることで豊かな経験ができ、その理解は深くなっていくのです。

 

例えば、大人も仕事への愛や、尊敬されるとはどんな事かを知り、個々のペースでじっくり学び(卒業までに全てを終えなくてはいけないので、ゆっくり過ぎては困りますが)、そして集団で学び、協力し合い、想像力や論理的思考を働かせながら、人間の傾向性に沿って学びます。

 

そのために我々は、ここが大人にとっても『整えられた環境』であるように心がけています。人間の傾向性がうまく働くようサポートをするためです。それが、私たちがトレーニングを考える上でのゴールです。」

 

 

 

学ぶ大人への整えられた環境

(生徒のための図書コーナー、モンテッソーリに関連する本や資料が並ぶ。)

 

– では、トレーナーやスタッフの皆さんで、生徒たちへの“整えられた環境”を作るように、工夫されているのですね。

 

サラ:「そうです。そしてこの建物の中には他にも部屋があり、身体的だけではなく精神的にもリラックスできるような場所を提供できるように心がけています。

 

生徒たちは皆、豊かなバックグランドを持っています。それを、子どもに接する時に使って欲しいのです。私たちは、生徒達が既に知っている事には敬意を払うし、高く評価しています。『私たちはプロで、あなたが知るべき事を全て教えます!』というのとは対照的にね。私たちがここにいるのは、彼らの学ぶ過程をサポートする為なのです。

 

そして、彼らに『自分自身でモンテッソーリ教育への信念、確信、情熱を育んで行って欲しい』と思っています。なぜなら、それは人でよって異なるからです。それらは、人間が一人ひとり違うように、生徒一人ひとりユニークな物なのです。まさに子どもが一人ひとり違うようにです。」

 

(3-6歳のトレーニングのお部屋)

 

 

先生方、お忙しい中質問にお答え下さって誠にありがとうございました。お二人へのインタビューは、次回に続きます。

 

※MNWでは、この素晴らしいトレーナーによる3-6歳と小学生のコースが開かれています。「もっと学びたい方へ」もご参照下さい。

 

 

 

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