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イデー・モンテッソーリ/モンテッソーリ教育を愛する全ての人へ

2018.08.09 AMIエレメンタリートレーナー バイバ先生インタビュー② モンテッソーリの小学校の先生へ


世界には、アメリカやイタリアのように、モンテッソーリ教育が0歳~中学校まで受けられる国が沢山あります。一方日本では、6歳以降にモンテッソーリ教育を受けられる場所が、とても少ないのが現状です。

 

そこで日本に、小学校以上のモンテッソーリ教育がもっと広まることを願い、モンテッソーリ教育の6~12歳における世界的第一人者、イタリアのバイバ先生にお話を伺いました。

 

今回は、モンテッソーリの小学校課程の先生を目指す方に向けてのお話です!

 

(画像出典:http://www.montessoricongress2017.org/baiba-krumins-grazzini.htm)

(Source of photo: http://www.montessoricongress2017.org/baiba-krumins-grazzini.htm)

 

 

バイバ・グラッチーニ先生 プロフィール

AMI認定のトレーナー、講師、試験官、ベルガモのトレーニングセンター(Centro Internazionale StudiMontessoriani)のディレクター。イタリア共和国ロンバルディア州、ベルガモの小学生過程のトレーニングセンターには1975年から関わり、1986年にトレーナーに、そして1992年よりトレーニングセンターのディレクターに。イタリアのみならず、スペイン、アイルランド、インド、日本など世界中で小学生教師養成のコースを開いている。

 

 

 

モンテッソーリの小学校の先生に向いている人とは?

– ずばり、どんな人がモンテッソーリ教育の小学校の先生に向いているのでしょうか?

 

「マリア・モンテッソーリは、“小学校の先生は、子どもを愛するだけでは足りない”と言っていました。モンテッソーリの小学校の先生は、子どもを愛するのと同じように、世界を愛さなくてはいけないのです!

 

– 「ああ、私子ども大好き!」というだけではだめなのですね。

 

「そう。なぜなら小学生たちは世界について、自ら学びたいし、知りたいと思っていますから。物事がどんなふうに働いていくのか、理解したいと思っています。」

 

(Scuola Montessori Casa dei bambini Milano小学生クラスより)

 

 

 

子どもの質問の変化に対応する

「幼児期の子どもの持つ質問は、『WHAT(なに?)』でした。

 

一方、小学生は、『HOW(どうやって)』と『WHY(なぜ)』という疑問を持つようになります。例えば、『昼と夜って何であるの?』『季節ってなぜあるの?』『雨や風や雪の違いって何?』このようなことを沢山疑問に持ちます。」

 

(ベルガモ・モンテッソーリ教育のエレメンタリートレーニングセンターで行われていた、人類が、どのように石をつかって、塀などを築いてきたかの講義教材。)

 

 

 

世界に興味を持つことが大事!

「だから、モンテッソーリの小学校の先生は、このようなこと全てに興味を持っていなくてはいけません。先生が興味を持たなかったら、どうやって子どもが世界について学ぶことを、たすけられるでしょうか。

 

ですから、これは子どもの家(3-6歳のモンテッソーリ園)にいたのとは、また違った種類の教師なのです。でも、同じ人間が両方の先生になれないというわけではありません。小さな子と上手に働いて、さらに小学校でも働ける、という人もいます。実際マリア・モンテッソーリ自身もそうでしたから。

 

でも恐らく全ての“小さな子どもとうまく働ける先生”が、必ずしも“小学生と働ける”ということではないと思います。」

 

(ベルガモ・エレメンタリートレーニングセンターの様子)

 

 

 

物語の「良い語り手」って?

「モンテッソーリは、小学校の先生のことを『真実の物語(注1)を語る人』と言いました。我々は、子ども達が世界をよりよく理解するために、真実に基づく、空想的な物語(注2)も語ります。例えば、光や空気が自分たちにまつわる真実を話す、といった物語です。

 

0-6歳の子どもにはファンタジーよりも現実を与えることが大事でしたが、ある程度現実を理解できるようになった小学生には、空想的な物語を話しても大丈夫なんです(注3)。我々は、真実でありながら、空想的なお話を話すことができるんです。子どもの理解をたすけるために。

 

ですから、子どもに興味を持ってもらうため、先生は魅力的な物語の良い語り手にならなくてはいけないのです。先生は、世界のあらゆることに興味を持ち、さらに子どもが興味のある物に興味を持たなくてはいけません!」

 

(植物が地面から水を吸い上げ、それを太陽が吸っているイメージで「蒸散」を表している絵。)

 

(葉っぱの中で何が起きて、何をしているのか、「光合成」を表した絵)

 

(植物の栄養がどこからどのように来ているか(窒素循環)を示した絵)

 

(日光がくまなく葉に行き渡るためには葉の大きさがどうあるべきか(葉序)を示した絵)

 

(生物学の植物の葉っぱ編の物語。各教科にこうした小さなストーリーがたくさんあるそう。)

 

 

 

Cosmic Fable(宇宙物語)の補足

~バイバ先生のインタビューでお聞きしきれなかった、「物語」について、バイバ先生のトレーニングコースを卒業したエレメンタリー資格者で、東京モンテッソーリ スクール学長の伊藤政倫さんにお聞きしました。~

 

ファンタジーの「真実の物語」とは?【本文中の(注1)】

例えば、「小さな物質からこの地球に生命をもたらす犯人は誰か?」という物語があります。太陽は水を疑い、水は空気を疑い、空気は岩を疑うんです。この物語から、「液体・気体・固体」の三態の代表が結果として関連し結びついているというイメージを子どもたちの中に宿します。こういう物語は科学的理論に基づくもので、クマさんとネコ君が遊ぶファンタジーとは異なるため、「真実の物語」と言っています。

 

②「物語」の役割【本文中の(注2)】

幼児の「無意識の仕事」を、小学生の「意識的な仕事」に転換するために重要。幼児の興味が「What’s this?」に対して、小学生は「Why?」と「How?」になるため、発達段階に合わせて子どもの世界観を大きく拡げる役割があります。

 

(ベルガモ・モンテッソーリ教育のエレメンタリートレーニングセンターにある、生命のタイムラインの教材)

 

③「物語」をする時期【本文中の(注3)】

小学1年生になった初めの1ヶ月のうちに「物語」の授業をして、子供たちの想像力を思い切り拡げます。歴史も石器時代からではなく46億年前の「地球誕生」から始まります。1億年を1mと換算して46mの長いロープを張ると、人類の始まりは50万年前として0.5cmになります。地球誕生以降の長いタイムラインの中で、生命が誕生したカンブリアン期あたりから現在までの13mの長さを実感している人と、わずか1cmにも満たない人類の歴史を「誰が誰を倒した」と習っている人とでは、その後の人生に大きく影響すると思いませんか?

 

(お話:ベルガモ卒業生 / 東京モンテッソーリ スクール学長 / 伊藤政倫さん)

 

 

 

論理的思考力を持つこと

– バイバ先生、小学校の先生は、世界に興味を持ち、さらに良い物語の語り手でなくてはいけないのですね。

 

「そしてさらに、先生は論理的に考えられなくてはいけません。」

 

– さらに論理なセンスも必要なんですね。それはなぜですか?

 

「なぜなら、あなたは、小学生の子がはっきりしないことを明確にして紹介しなくてはいけないから。小学生には、ただ真実だけを伝えてはいけません。真実は、小さな子どもにはよいことです。小さな子どもは、『WHAT(なに)』という質問を持っているからです。

 

でも大きな子どもは『なに』をすでによく知っているので、『どうやって』『なぜ』『いつ』『どこで』ということも疑問視します。

 

ですから、そういう沢山の疑問を持つ子どもたちに対して、先生は論理付けをよくできなくてはいけないんです。つまり、そういう疑問をもった子どもたちに対して、明白に物事を伝えられなくてはいけない。なぜなら、先生は、理由づけをしたいと思っている子どもの理解をたすけなくてはいけないからです。」

 

(ベルガモ・モンテッソーリ教育のエレメンタリートレーニングセンターにある、幾何の教材)

 

 

 

子どものニーズは「一人でできるように」から「一人で考えられるように」へ

– 6歳までの子どもと、小学生は全く違うニーズを持っているのですね。

 

そう。小さな子どもの場合のスローガンは『一人でできるように手伝ってください』でした。でも小学校の子ども達は『一人で考えられるように手伝ってください』なんです。

 

小学校の子ども達は、どうやって友人関係のトラブルに対応するか自分で考えたり、自分で発見するのを手伝ってほしいと思っています。誰か他の人が全てを教えてくれるよりも、自分で答えを見つける方が、ずっとワクワクしますよね。

 

子どもの興味を持つ世界のあらゆることに一緒になって興味を持ち、良い物語を語り、論理づけをよくできる、そんな先生が必要なんです。」

 

(ベルガモ・モンテッソーリ教育のエレメンタリートレーニングセンターで勉強中の日本人生徒達。)

 

 

 

モンテッソーリの学童保育・アフタースクールについて

– 小学校を開校するのが難しい日本で、モンテッソーリ教育で小学校向けに学童やお教室をやることはどう思いますか?

 

「勿論、理想的だとは思いません。なぜなら、子ども達はこれまでのように、自分で興味があることを選んで学ぶ自由を日中に与えられるべきだからです。

 

でも、特にそれまでモンテッソーリ教育を受けてきた子ども達にとっては、小学校になったとたん全くモンテッソーリがなくなってしまうよりも、良いと思います。ゼロよりは良いと思うんです。勿論、理想ではなくても。」

 

(ベルガモ・モンテッソーリ教育のエレメンタリートレーニングセンターにある教具・教材)

 

– モンテッソーリ教育を学童保育のようなところでやる際に、我々が気をつけるべきことはありますか?

 

「それは、子ども達が、興味に従って、自分の好きなことができる、本当に自由を与えられている、ということ

 

気をつけたいのは、限られた時間の中では、先生の言ったことをやらなくてはいけないような状況になることです。そうしたら、その子は日中の小学校でも学童保育でも先生の言ったことをすることになってしまう。私は、それが子どもにとって公平であると思いません。

 

でももし本当に興味に従って自由でいることができるとしたら、そうしたら良いんじゃないでしょうか。彼らは既に普通の学校に行っているので、モンテッソーリの学童に来ても、ただ座って本を静かに読んでいたいかもしれませんが。でも、それが許されなければいけませんよ。」

 

(ベルガモ・モンテッソーリ教育のエレメンタリートレーニングセンター)

 

「大人だって常に誰かに“次はこれをしなさい!”と指示されていたら、うんざりですよね?

 

でももし、そこがリラックスできてリフレッシュできる場だとしたら。そして、何か興味を持っていることができるところだとしたら。そうしたら、私は、ゼロよりも良いんじゃないかと思います。

 

もし、その学童保育が本当にモンテッソーリのやり方でやっていて、そして、子どもに興味へ従うことを許し、彼らが選択の自由を持ち、どんなふうに時間を使うか選ぶこと自由であるとしたら、一日のうち、2時間程度のほんの短い時間かもしれませんが、何もないよりは良いんです。勿論、モンテッソーリの小学校で、日中に受けられることが最善ですが!!

 

日本にも、モンテッソーリの小学校課程を勉強する先生が一人でも増え、幼児期にモンテッソーリ教育を受けた子ども達が、6歳以降もモンテッソーリ教育を継続して受けられる場所が増えることを願っています。」

 

– バイバ先生、お忙しい中本当にありがとうございました!

 

 

 

 

【CISM(Bergamo Montessori Training Center)】

Fondazione Centro Internazionale Studi Montessoriani

 Via Pignolo, 73; 24121 Bergamo, Italy

http://www.montessoribergamo.it/

Course Dates: September 3rd, 2018 – June 29th, 2019

Course Director: Ms. Baiba Krumins Grazzini


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