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イデー・モンテッソーリ/モンテッソーリ教育を愛する全ての人へ

2018.07.05 綿貫愛香先生インタビュー①
イタリアのモンテッソーリ教育


モンテッソーリ教育は、20世紀初頭にイタリア人の女性医学博士マリア・モンテッソーリ博士が考案しました。今日まで100年以上にわたり世界中で実践されています。

 

様々な分野で活躍する人材を輩出していることからも、モンテッソーリ教育は、日本でも近年とても注目を集め人気が高まっています。誕生した国イタリアでは、どのくらい認知されているのでしょうか。

 

イタリア在住の日本人モンテッソーリ教師、マリアーニ・綿貫愛香先生にお話を伺いました。

 

(マリアーニ・綿貫愛香先生)

 

マリアーニ・綿貫愛香先生プロフィール

AMI横浜コースにて乳児(0-3歳)レベルの国際教師資格取得。AMIロンドンコースにて幼児(3-6歳) レベルの国際教師資格取得。モンテッソーリ教師の母の元、幼少から自宅にてモンテッソーリ教育に親 しむ。思春期からスペインで育ち、その後もアメリカ、ドイツ、イギリスへ留学。日本 語、英語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語と5ヶ国語に堪能で多文化への造詣も深い。モンテッソーリ教育のI.C(Infant Community)1-2歳クラスの設立をロンドンではじめ て成功。AMIのモンテッソーリ教師育成コースの講義や試験、国際会議での通訳に加え、2018年春にはAMI公認の外部試験官に任命され、今後はペルージャの国際教師育成コースにて試験官も行う。現在は、北イタリアのミラノにてバイリンガルモンテッソーリスクールに勤務する。本場のモンテッソーリ教育に携わりながら、世界とイタリアの架け橋となるべく執筆、翻訳、通訳、研修の企画もこなす。一児の母。

 

 

 

一度は消されたモンテッソーリ教育

– イタリア在住のモンテッソーリ教師である、愛香先生にまずお伺いしたいのですが、イタリアでのモンテッソーリの知名度は高いのでしょうか?

 

「残念ながら、イタリアでのモンテッソーリ教育の知名度はそこまで高くありません。モンテッソーリ博士はかつて紙幣の肖像画になったりと、名前は知られていますが、教育内容は一般的にはそこまで浸透はしていないように思います。知っている人と知らない人との差が激しいように思います。」

 

– え? それは大変意外です。

 

「そこには、歴史的背景が大きく関係しています。かつてムッソリーニ政権に利用されそうになり、協力を拒んだマリア・モンテッソーリが国外に亡命した時点で、イタリアのモンテッソーリ教育は一度なくなったんです。独裁者・ムッソリー二の命令で、国内のモンテッソーリスクールはすべて放火され、完全に消されました。皮肉ですが、その結果、海外にモンテッソーリ教育が伝わり、世界でモンテッソーリ教育が実践されることになったのです。

 

そんな中でもイタリアのモンテッソーリ教育を守ってきたのは、モンテッソーリの愛弟子であったアンナ・マッケローニ女史や、名家ゴンザガ家のジュリアナ・ソルジュ女史、南はローマにリデイア・チェリ先生たち。ムッソリーニ政権にモンテッソーリ教育が消された後も、その炎を消さないように細く長く守ってきのは、一部の貴族や上流階級の女性たちだったのです。」

 

(アンナ・マッケローニ女史)

 

 

ミラノで30年ぶりの開園!

– では、イタリアではモンテッソーリ教育はあまり人気がないのでしょうか。

 

「でも今、北イタリアを中心に、モンテッソーリ教育が第2のリバイバルを迎えています。数年前に今勤めているモンテッソーリスクールを、ミラノで6つ目の園として開いた時、“ミラノ市では30年ぶりに開かれたモンテッソーリ園だ”ということで、地元の新聞に載りました。今はミラノ近郊のブレイシアなどでも新しいモンテッソーリ園ができたり、ミラノ市内でも、保護者の要望を受けて、中学校にモンテッソーリ教育のモデルクラスが4つできるなど、また復活の兆しを見せています。」

 

– なぜ求める声が高くなってきていると思いますか?

 

「時代の変化と共に、様々な子どもの問題が新たに出てきたからだと思いますまた、そういう子ども達が心理学者の元にいくと、『モンテッソーリ教育を受けなさい』と言われたりもするそうです。社会も変化して、多様性との共存を余儀なくされる時代です。結果、親たちが教育も自由に選べるようになってきて、その選択肢のうちのひとつがモンテッソーリ教育だということでしょう。」

 

ミラノで6つ目の園として、“30年ぶりに”開かれたモンテッソーリ園「Montessori Bilingue di Milano」

 

 

 

イタリアの子育て事情

– 実際にイタリアで子育てをされて、日本とどんな点が違うと思いますか?

 

「イタリア人の子育ては、褒める、自慢する、愛するに尽きます。我が子を褒めて、褒めまくる。日本人の感覚では信じられないほど褒め、アモーレ*愛情をたっぷりかけます。ここでいう愛情とは注意力です。また社会も周りの大人も子どもに優しい。通りすがりの人でも子どもに興味を持ち、話しかける。そういう雰囲気の中で育つので、自己肯定感の強い子どもが多い気がします。

 

また典型的なイタリアの幼稚園とは、人数も50人位でそんなに多くありません。日本のようにたくさんのクラスがある大規模の園は、あまり見かけません。

 

そして、イタリアでは先生も子どももゆったりしているイメージを持っています。あと横割りもなく、運動会などの行事は一切ありません。」

 

(Montessori Bilingue di Milanoの3-6歳児クラス)

 

– 愛香先生の勤務する幼稚園も皆さん夕方4時すぎくらいには帰宅されるんですよね?でも、保育園の先生は忙しいのでしょうか?

 

「イタリアの幼稚園は、保育園の機能もかねています。教育省という一つの所が管轄しているので、日本のように、幼稚園と保育園にわかれていません。しかも遅くても、夕方5時半や6時が最終の預かりで、日本のように、夜遅くまで預かっていたり、夏休みもずっと保育をしている、ということはないですね。これは、大人の働き方が根本的に日本社会と違うからだと思います。」

 

– それは、そもそもお母さんたちがそんなに長く働かないからでしょうか?

 

「そうですね。お母さんだけではなく、お父さんも仕事の後のお付き合いなどのしがらみがありませんから、帰宅は早いです。意外ですが、イタリアは働く時間に比べて、生産力が高い国なのです。短期集中型といいましょうか。例えば子どもを外の施設に夜8時まで預けたり、病気の時も預けたりなどは考えられないですね。

 

また、この国は家族の結束力がすごく強い国。大体みんな自分の実家の近くに住んで、家族の力も借りています。また、お父さんも、おじいさんもおばあさんも、みんなで子育てに参加しますから。お母さんだけにまかせるということは、まずないですね。」

 

ちなみに教師は、夏の有給バカンスが2か月あります。社会全体の中にONとOFFの切り替えがあり、休む時は休む、遊ぶときは遊ぶ。8月のバカンスの時期には町が空っぽになり、子どもたちは山や海といった自然の中で過ごします。町に誰もいなくなるから、幼稚園で子どもを預かる必要もないんです。」

 

– そんな理由で、先生達も子どももゆったりされているのでしょうね。

 

(Montessori Bilingue di Milanoの3-6歳児クラス)

 

 

モンテッソーリ教員免許がイタリアの国家資格

– 後、イタリアの「オペラ・ナショナーレ」というモンテッソーリ組織は、名前は良く聞きますがどんなものなのでしょうか?

 

オペラ・ナショナーレ(Opera Nazionale Montessori)と言うのは、モンテッソーリが始めにつくったイタリア国内のモンテッソーリ協会です。ローマのトラステヴエレ地区に本部があります。ここでは教師育成コースや本の出版、会議なども行われています。

 

一方、AMI(国際モンテッソーリ協会・Association Montessori Internationale)は、モンテッソーリが亡命して、スペインやイギリスやインドなど様々な国に行く過程でできた、国際的な組織です。本部はオランダのアムステルダムにあります。

 

イタリア国内では、オペラ・ナショナーレによるモンテッソーリ教師資格は、国家資格になっていますですから、AMIの資格を持っていてもオペラ・ナショナーレの資格も取らないと、『モンテッソーリ教師』として働くことは許されません。ミラノ大学の教育科学学部の中にも、オペラ・ナショナーレのモンテッソーリ教師養成のコースがあります。」

 

– モンテッソーリ教師が国家資格!? また、日本とは違ったシステムがあるのですね。

 

(AMIのトレーナー ジュディ・オライオン先生、シルバーナ・モンタナーロ先生と綿貫愛香先生)

 

 

コースの違いからも、豊かさを生む

「今、私はAMIの資格を持つモンテッソーリ教師として、ミラノで働いて6年目ですが、同僚はオペラのベテランのモンテッソーリ教師の、ラウラぺスカイア先生、オペラのトレーナーのシチリアコッキアーナ先生、AMI資格者の校長ゲニアナフマニー先生です。英語圏や北欧出身の同僚たちに囲まれて、国際色豊かな環境に恵まれています。

 

イタリア国内の組織である『オペラ』と、国際組織の『AMI』は違うんですが、『子ども』は共通言語です。子どもを通して、本質を見ていく目を養えば、お互いの違いから豊かさを生むことができる。違うコースで学んでいたとしても、様々な国籍の人同士でも、お互いから豊かさを出して、分かち合って、時には討論を繰り返し、お互いに理解を深める努力や工夫を重ねて、共にチームとして進んでいく、子どもの発見を共有するとは、そういうことです。」

 

(Montessori Bilingue di Milanoの3-6歳児クラス)

 

 

イタリアからモンテッソーリ教育を発信したい

– これまでモンテッソーリ教育を、素晴らしい先生達から学び、本場イタリアで実践されて来た愛香先生が、これからやりたいことは何ですか?

 

「イタリアのモンテッソーリの現場に日々触れていますから、感じること、思うこと、課題も夢もたくさんあります。自身の子育てでは常に感じることを大事にしてきました。今後、もっと学びも深めたいと思っています。

 

また『本物のモンテッソーリの魂の教育、そのこころ』というものを、日本や世界で子育てをしているお母さんお父さんや先生方に向けて、イタリアから発信していきたいな、と思っています。例えば、ブログも構想にあります。月齢にあったおすすめの絵本、質の良いおもちゃの紹介など、特にお母さんをサポートすることを考えています。通訳や翻訳のお仕事も自分の視野が広がるという意味では、積極的に続けたいですね。

 

(リデイア・チェリ先生と綿貫愛香先生)

 

– 是非楽しみにしております。マリアーニ・綿貫愛香先生、イタリアのモンテッソーリ教育について、様々なお話をして頂き、ありがとうございました!

 

 

次回は、「実際に0歳~12歳まで本場イタリアのモンテッソーリ教育で子育てをした、その効果」について、お伺いします。

 

 

【マリアーニ・綿貫愛香先生 関連サイト、書籍】

・綿貫先生のブログ「Montessori from Italy イタリア発 モンテのこころ」

・Facebookページ「Montessori from Italy イタリア発 モンテのこころ」

・Facebookページ「モンテッソーリ教育 Montessori Education」

「イタリアざんまい」(イタリアで働く日本人として紹介されています。)

・クレヨンハウス出版の「クーヨン」(綿貫先生のイタリアでの子育てが特集されています。)

 

   

 

 

 

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