2018.05.24 AMI認定園インタビュー Puddletown School ② 先生の実践 Q&A


 

アメリカ、ポートランドのAMI認定園「Puddletown School」のアドミニストレーター、アンドレアさんに、モンテッソーリの先生に向けていくつかの質問をしました。

 

(Puddletown Schoolのアドミニストレーター Ms. Andrea Ludlowさん)

 

 

 

Q1.  新しい園をスタートする時のアドバイスはありますか?

– アンドレアさんも、2004年にゼロからこのモンテッソーリスクールを開きましたね。今では100人の生徒がいる、国際モンテッソーリ協会認定園になりました。今日本でも新しい園が増えていますが、ゼロから新しくモンテッソーリ園を立ち上げる際、どうしたらうまくいくと思いますか?

 

A「例えば3-6歳の園の場合、私のおすすめは、クラスを3歳だけではじめる、ということです。しかも定員が24名だとしたら8人だけで。

 

– えっ、たったの8人で?

 

「はい。勿論最初は経営的には苦しいでしょう。でも、もし最初から24人の3歳から6歳まで揃った状態ではじめてしまったとしたら…きっと先生は6歳児に小さい子のモデルになってほしいと思いますよね。でも、彼らはいきなりモンテッソーリ環境に入って、どんなふうにモデルになったらよいのかわかりません。

 

だから最初の2-3年は、先生自身が6歳児になり、モデルになるのです。そして次の年にはまた3歳を8人だけ取り、そして3年後、新しい3歳が入ってきた時には最初の3歳が育っていて、リーダーとなってくれるのです。クラスには彼らのような存在が絶対に必要です。」

 

– 時間をかけて、縦割りクラスでお手本になれるような年長の子どもを育てていくということですね。

 

 

「もし新しいクラスで、5-6歳のモンテッソーリ教育が何かをよくわからない子ばかりがいるとしたら、クラスは大変な、混沌とした状況になると思います。年上の子たちはどうやってロールモデルになってよいかわからないからです。」

 

– 縦割りクラスの中には、ロールモデルになれるような、5,6歳児の存在が不可欠ということですね。

 

 

 

Q2.  教材準備のポイントはどんなことですか?

「“日常生活の練習”の教材は、入れ替えをしなければいけません。もちろん、“机を洗う”のような活動は一年中あってよいものだと思います。でも“注ぐ“の活動などは、月に1回、またはそれ以上の頻度で入れ替えをする必要があります。”芸術“の活動も入れ替えが必要です。」

 

– 観察をして、子どもがもう興味を持っていないと感じたら、入れ替えなければいけないわけですね。

 

「そう。こちらも気を付けていなければいけません。なぜなら、先生は物凄く忙しいために、うっかり忘れたり、後回しになることが多いからです。

 

クラスの多くの教材の中から『この活動には皆もう興味を持っていないな』などと注意して見るようい心がけること。そして例えば、いつもの色水の色を赤から青に変えてみたり、入れ物を違う容器に変えたりするだけで、その教材を再びワクワクするものにできるかもしれないのです。」

 

– 教材をそろえる時の注意点ありますか?自分もついつい100円ショップで探しがちですが。

 

「子どもが見て『うわー!なんて綺麗なんだろう!触ってみたい!やってみたい!』と思わせることも大事です。プラスチックで安くて、大人にとってもどうでもいいようなものは、子どもにとってもあまり魅力的ではないでしょう。」

 

 

– 物凄く美しく、高価なものを、壊されることを覚悟しなくてはいけないですよね。

 

「私が勧めるのは、リサイクルショップです。そこで魅力的なバスケットやトレーなどを安く見つけてきます。だってやっぱり、よく壊されるからです。あなたが買ってきた素晴らしく、美しく、しかも高いガラス製品を、クラスに出した10分後に壊されたら悲しいですよね。勿論『壊される!壊される!』と思ってはいけませんが、やっぱり壊れることは起こるんです。

 

そして先生は壊されることに対して、フレンドリーでなくてはいけません。」

 

– 「キャーッ!!」とショックを受けるのではなくて(笑)?

 

「壊されても、『ああ、OK。壊れたね。片づけよう。』と。そして、またそろえられるまでは一旦しまわなければいけません。でも、もし全てのものが安くて、どうでもいいようなプラスチック製品だったとしたら、やはり先生や子どもの物への態度もそうなるのです。」

 

– つまり、ポイントは、自分自身にも魅力的だと感じる素敵なものを、なるべく中古などで工夫してそろえ、そして丁寧に扱いながらも、壊れるものだと寛大になることですね。

 

「そして安全であること。そして活動ごとのカラーコーディネーションも大事ですね。」

 

 

 

Q3.  活動の順番を“待つ”ことができず、邪魔する子はどうしたらいいですか?

– 新しく魅力的な教材が増えて、そして、誰もが『それをやりたい!』と思ったとします。そこに順番待ちや、見学者が出てしまうような状況だったとしたら、どうしますか?

 

「私は、列で待たせる、ということはしません。『先生が提示を行うまでは、子どもはその活動を行えない』というルールがあるので、どのみち待っていてもできませんよね。

 

最初に新しい教材を持ってきた際、誰に最初に提供するか、ということを私なら良く考えます。その提供を皆の前で自信を持ってやってくれそうな子どもを誘います。

 

そして、他の子ども達が何人かやりたいと集まっている場合は『ねえ、◯◯君はこれを朝ずっとやっているかも知れないよ?だって、彼はこれを好きな時に棚に戻していいんだもの。だから、なんか他の物を探しに行こうよ。そうだ、一緒に探しに行こうよ!!』と、ワクワクするような言い方で、待っている子どもを他の活動に誘います。」

 

 

– 他の活動に誘うわけですね。

 

「そう。だって私たちのクラスの約束は活動は好きなだけやっていいということだからです。だから◯◯君は、本当に3時間やっているかも知れません。3時間待つなんて、誰にとってもいい事ではありませんよね。

 

そして他に誘う場合は、彼らに『待つか待たないか』という選択をさせずに連れていきます。勿論愛と温かさと共に。

 

– もしどうしても◯◯君の活動を見ていたかったらどうしますか?

 

「勿論、友達の活動の観察することは許されます。手は出さずに、話さないという約束で。でも、もし手を後ろにして、話さないで見ていられない場合や、◯◯君の集中の妨げになるような時は、やはり誘い出します。『何か他のことを見つけにいこう!◯◯君は集中したいようだからね』と。

 

– ポジティブに誘うんですね。

 

「そう。子どもには常に前向きな言い方を心掛けます。なぜなら、邪魔しているような子でも、とても小さいし、自分のやりたいことをやりたいだけで、何か意図的に悪いことをしようとしているわけではないからです。」

 

 

 

 

アンドレアさん、日本のモンテッソーリの先生のために、たくさんのアドバイスをありがとうございました!

 

 

【PUDDLETOWN SCHOOL】

7220 SE César Chávez Blvd Portland OR 97202

http://puddletownschool.com/#sthash.LmbCxnjs.dpbs

 

 

 

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