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イデー・モンテッソーリ/モンテッソーリ教育を愛する全ての人へ

2018.02.08 松浦先生インタビュー①
モンテッソーリ教育への想い


松浦公紀先生は、モンテッソーリ教育の普及に貢献されて来たお一人です。そのお話や著書は、とても分かりやすいと定評があります。また日本モンテッソーリ教育綜合研究所の講師としては、これまでにたくさんの人々にモンテッソーリ教育を教えていらっしゃいました。

 

松浦先生がどのような経緯でモンテッソーリ教育に携わり、どんな想いでされているのか、お話を伺いました。

 

松浦公紀 先生

松浦学園モンテッソーリ子どもの家 園長。

日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成センター 主任実践講師、上席研究員。

『モンテッソーリ教育が見守る子どもの学び』学習研究社、

『幼児のちから』静岡新聞社、

『0歳~3歳のちから モンテッソーリ教育が見守る乳幼児の育ちと大人の心得』学習研究社等

著書多数。

 

 

 

モンテッソーリ教育との出会い

-まず初めに、松浦先生とモンテッソーリ教育との出会いをお伺いできますか。

 

「私は、高校の時に1年間アメリカに留学したんです。

 

その時、地元の幼稚園児に浴衣を着て折り紙を折ったりする文化交流をやったんですが、そこが偶然モンテッソーリ教育の幼稚園だったんですよ。無意識の出会いと言いますか、当然当時はそんな事知りませんでした。

 

そして、帰国後は弁護士を志して中央大学の法学部に通いました。

 

大学1年生の時にアルバイトで家庭教師をしまして、小学校3年生の子どもを教えたんですが、非常に良い子だったんですよ。その時に「子どもって本当に素晴らしいな!」と思いました。」

 

– 元々、子どもに教えることがお好きだったのですね。

 

「そう。そして好きが高じて、塾でアルバイトを始めたんですよ。

 

塾は生徒の偏差値を上げようと、テストの点を上げるわけじゃないですか。生徒のお尻を叩いて教え込めば、ある程度点数が上がって来るんですよね。

 

それが最初はおもしろくて、とにかく教え込んで、教え込んで「あぁ、結果的に良い点が取れて良かったな!」という感じでやっていたんです。

 

でも、ある時「90点取れるある子」と「60点しか取れないある子」と比べた時に、どう考えても60点しか取れない子の方が良い子だということに気が付いたんです!!

 

『教育って、ただ単に点数を上げるだけのことじゃないな』というのが、何となく分かってきました。では『子どものための教育は、どんなものがふさわしいんだろう』ということを考えはじめて、本を読み、講演会に行き、いろいろな教育法を学んで探した時、再びモンテッソーリ教育に出会ったんですね。

 

それで、『これはなかなかおもしろそうだな!』『子どもにふさわしい、理想に近い教育法じゃないかな?』と感じて勉強し始めたら、後はもうのめり込むだけでした。」

 

– そこから、資格を取られたのですか。

 

「20代の前半の時にまず日本で3歳-6歳の子どもを教える資格を取って、卒業式の日にまたアメリカ行ったんですよ。」

 

– なぜ、アメリカに行かれたんですか。

 

「日本では、まだ乳幼児期(0歳~6歳頃)の教育方法の一つという捉えられ方でしたが、アメリカやヨーロッパは進んでいて、小学校や中学校もある事を知った為です。

 

それでアメリカに行き、テキサスのサウスウェスタントレーニングセンター(American Montessori society)で2年かけてモンテッソーリの小学校の課程を勉強して来ました。」

 

 

 

勉強と実践

– 資格を取られてみて、いかがでしたか。

 

「『なるほどな』と思った部分と『でも、これは子ども達にうまく伝わるのかな』という懐疑的な部分と両方ありました。

 

その後に、実際のクラスで実践してみると、『あぁ、なるほどな!』と思う部分が多くて、『これは、机上の空論ではなくて、実際にこうやって機能する。本当に子ども達に有効なものなんだな。』と、だんだん確信していくようになりましたね。」

 

(松浦学園 モンテッソーリ 子どもの家で、松浦先生と言語の活動をする子ども達)

 

– モンテッソーリの先生方が良く言われるように、子どもが実際に変わっていく姿をご覧になって、ますますのめり込んで行かれたわけですね。

 

「そうなんです。最初はやはり、『生まれて数年の子どもってまだ何も分からなくて、できないから、やっぱり教え込まないとできるようにならないんじゃないか!?』という思い込みがすごく強かったんですよね。」

 

– 私たちも受け身の教育をずっと受けてきました。

 

「そう。私も自分が受けてきた教育の『必ず前に先生がいて、先生が知識を一方的に伝授し、生徒は受け身で学ぶ』という態勢が染み込んでしまっていました。教育というのは、ともかく『先生が教えるものだ』という意識がすごく強くあったんですよね。」

 

– 実際子ども達はいかがでしたか。

 

「教え込まなくても、できちゃうんです!すごい力が子どもにはあるんだな、もしかしたらこれがマリア・モンテッソーリが言っている、『自由を子どもに与えろ』ということなのかな、ということに気が付いて、納得していく部分がありました。」

 

(松浦学園 モンテッソーリ 子どもの家で、一人で連続数の活動をする子ども)

 

– そのようにして、これまでモンテッソーリ教育を続けていらしたのですね。これまでどれぐらいの間、子どもと関わって来られたのでしょうか。

 

「この子どもの家を開いてからは、約30年経ちます。」

 

(松浦学園 モンテッソーリ 子どもの家)

 

 

 

今、子育てする方に伝えたいこと

– 長い間、たくさんの子ども達の教育をされて来て、今、小さい子(6歳以下)の子育てをしている、お父さんやお母さんに伝えたいことはありますか。

 

「そうですね。やっぱり、『可愛い!可愛い!』の『愛情だけでは子どもは育ちません。』ということでしょうか。

 

同時に『子どもに対する知識』もないと、健全な子どもは育ちません。そういう意味で、『もっと、子どもってどんな存在なのかを知りましょう。』と伝えたいです。

 

それを知る時に、モンテッソーリは、色々ためになることを言っています。

 

モンテッソーリ教育の考え方を知れば、子どもと接する時の拠り所、『どういう考え方を基準にして子どもと接すれば良いのか』ということが分かるようになるんです。

 

子どもは色々な問題を起こすけれども、それぞれの問題に対して、『あぁ、こういう風に考えれば良いんだよ』という対処法があることは、是非お伝えしたいです。」

 

(松浦学園 モンテッソーリ 子どもの家で、数など様々な活動を集中して行う子ども達)

 

 

 

日本人の自信

– さかなクンのお母さんの新聞のインタビューが、園の先生のコラムに引用されていましたね。お母さんは、どんなに他人にあれこれ言われても、魚が好きな息子を信じて、それにトコトン付き合ったそうですね。

 

「ハイ。あのお母さん素晴らしいと思いますよ!」

 

– 皆さんがあのようなお父さんお母さんになれれば良いのですが、「自分の子だけ変わっているかな?」と考えてしまうと、やはり自信が持てないです。不安になって「魚好きなんてやめて、皆と同じことやりなさい!」等と言ってしまいそうです。

 

「そうですよ。だから最終的に私たち日本人に欠けているのは、自信なんですよ。『自分(や自分の子どもは)は、人と違っていても、これで良いんだ!』という信念のようなもの。」

 

– 誰かに何かを言われても、跳ね返す強さのようなものでしょうか。

 

「そう。『それ、違うんじゃないの?』というような、精神的なたくましさというかね。

 

よく私が使うジョークがあります。豪華客船が暗礁に乗り上げて、沈没しそうになっています。でも救命ボートには全員乗ってしまって、日本人とドイツ人とイギリス人の観光客の3グループが残されてしまいました。

 

 

今飛び込まないと助からないのに、皆ちょっと躊躇しています。その時、船長が言いました。

 

イギリス人のグループには『あなたたち今飛び込めば、紳士ですよ。』って。そうすると、皆飛び込むんですって。紳士になりたいから。

 

ドイツ人のグループには何と言うかと言うと、『ここで飛び込むのは規則になってます。』って。するとドイツ人はすごく規則を守るから、皆飛び込む。

 

それで、日本人には何と言うかと言うと、『日本人の皆さん、皆飛び込んでますよ。』って。そう言うと、皆飛び込む。『皆そうだから自分もそうしよう』と思うんですね。だから、「自分はこうだ」と言うものが、世界的に見ても日本人には無いと思われてるんですよね。それがやっぱり『自信のなさ』なんですよ。」

 

– なぜ自信がないんでしょうか。

 

「一つは、『自分で選んでとことんやり切る』という経験があまりないからではないでしょうか。表面的には色々なことやるんですよね、色々なこと教えられて。

 

もう一つは、やはり『管理が強い』ということです。いつも先生や親の指図を受けてきた人は多いんじゃないでしょうか。

 

 

少し話はそれましたが、『教えられる』ってことが多いと、自分からは当然やらなくなります。そのような環境で育てば、『こうしろ』『ああしろ』『次はこうだよ』といつも指示もらえる。そしたら考えなくなりますよね。考えなくても生きていけるんだから。

 

そうすると、社会人になっても『何をすれば良いのか』ということが、なかなか自分で決められないという、いわゆるモラトリアムになってしまいます。

 

会社に就職しても『何すれば良いんだろう?』と。言われればするけれども、自分からはしない。先輩に『仕事は自分で見つけるんだ。』と言われても、そういう経験がなければ、とてもじゃないけど、急に自分で考えたり、見つけたりとかできるようにはならないですよね。」

 

– まじめに一生懸命勉強してきて、そうなるのは理想の姿ではないですよね。

 

「そう。それは、本来のなるべき姿ではない。だから不幸せなはずなんですよ。

 

幸せな大人になるためにはやはり、『正しい方法での経験』が、一番大切になるんです。それはやっぱり、モンテッソーリの言うように、『乳幼児期から子どもが主体である』ということ。

 

(松浦学園 モンテッソーリ 子どもの家で、言語の活動をする子ども達)

 

子どもに自由を与えて、その自由の中で子どもがやりたいことと出会って、一生懸命繰り返す。そして、できるようになる、というのが、その子の人格を形成して行くと思うんです。」

 

 

 

松浦先生、ありがとうございました。次回はモンテッソーリ教育から考える「しつけ」について、お話を伺いたいと思います。

 

 

 

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