2017.12.07 トイレを学ぶ①


子どもが3歳を過ぎて入園を控えた頃、「○○ちゃんは、もうオムツとれた?トレーニングパンツ?」「トイレトレーニング(排泄に絡むトイレの使用に関する訓練)、なかなかうまくいかないわ。」などとやきもきするママも多いのではないでしょうか。

 

子どものトイレトレーニングでの一喜一憂は、誰もが通る道。排泄の自立のタイミングは子どもによって違いますが、どの子も皆いつかはオムツが取れ、排泄の自立をしていきます。 

 

その過程でも、子どもが自分で排泄の自立を学んでいけるような、モンテッソーリの考えに基づいた排泄の学び(トイレット ラーニング)についてご紹介致します。 

 

 

 

 

トイレトレーニングとトイレットラーニング 

モンテッソーリ教育では、トイレトレーニングのことを「トイレットラーニング」と呼びます。トレーニング“training”とは、「教える」とか「訓練する」などという意味ですね。大人が子どもに排泄を教えてあげる、という大人主体のイメージです。 

 

それに対して、ラーニング“learning(=学ぶ)の主体は子どもです。大人が適切な時期に適切な関わりをする事で、子どもは自ら排泄のコントロールを学んでいくのです。 

 

子どもたちは自分で育つ力を持っており、大人はそれを手助けする存在である」というモンテッソーリの基本概念が、この「トイレットラーニング」という言葉にもよく表れているのではないでしょうか。 

 

 

 

トイレットラーニングの持つ意味 

トイレットラーニングは、ただ「トイレで排泄ができるようになる」というだけではありません。子どもの発達において、もっと深い意味があります。 

 

まず、オムツから解放された子どもたちは、「運動の自由を獲得します。(※子どもが思うように動きやすいこと。)

 

オムツは、大人にとっては非常にありがたい便利なアイテムですが、子どもにとっては決して履き心地の良いものではありません。やはり、窮屈でかさばるオムツよりも、薄くて柔らかいパンツの方が、子どもたちも動きやすいのです。 

 

また、排泄の自立は、精神面でも大切な意味を持ちます。 

・自分の体を自分でコントロールすること。 

・自分の意志でトイレに行って排泄すること。 

排泄した後に自分でパンツや衣服を履くこと。 

 

それは、「精神的な自立」につながります。排泄は、毎日何度も繰り返し行われます。そのたびに、大人の手を借りる事なく、一人で一連の動きをやり遂げる事ができたとしたら…子どもの内面に、大きな自信が育まれる事でしょう。 

 

では、モンテッソーリのトイレットラーニングは、実際にはどんな風に行われるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。 

 

 

トイレットラーニングを始める時期 

「誕生からです。」と言うとびっくりされるかもしれませんが、子どもの学びは生まれた時から始まっています。赤ちゃんがおしっこする時に、少し泣いたり動きが止まったりする事があります。 

 

赤ちゃん自身も、「自分の体の中で何かが起こったぞ」という違和感があるのでしょう。そういう時にすぐ、大人が「おしっこ出たね~」などと反応することで、赤ちゃんの中に排泄への意識が育っていきます。そして、おしっこが出たらすぐにオムツを替えることも大切です。「お尻が乾いている状態が普通であり、清潔で気持ちが良い」という感覚が育っていると、その後のトイレットラーニングがスムーズに進みます。 

 

9~10ヶ月頃になると、排泄に関わる「括約筋(かつやくきん)」という筋肉をコントロールできるようになってきます。この頃には、お座りも安定してきますので、おまるに座らせてみると良いでしょう。

 

もっと早い時期から行っても構いません。お座りできる前なら、「ホーローおまる」(後述)が便利です。 

 

 

1歳~1歳4ヶ月頃は、「トイレットラーニングの敏感期と呼ばれています。

 

敏感期とは、ある事柄を身につけるのに、子どもの感受性が特に敏感になっている時期の事。この時期に適切な環境やサポートがあると、その事柄が身に付きやすいと考えられています。

 

 

 

1歳~1歳4ヶ月頃の成長の様子

  • 周りの人のやっている事をよく観察し、真似する時期なので、生活の中で自然にトイレに興味を持つようになってくる。 
  • 物事の理解が進み、「トイレ=排泄する場所」という事が分かるようになる。 
  • 運動面では、歩行が完成し、自分でトイレに行ったり着替えをしたりできるようになってくる。 
  • 「パンツが濡れた」「トイレに行きたい」などと、周囲に伝えられるコミュニケーション面も発達する。(大事な要因。) 

 

可能であれば、子ども側の準備が整うこの「トイレットラーニングの敏感期」に、本格的にトイレットラーニングを始めると良いでしょう。もちろん、それぞれのご家庭の事情もあるでしょうし、絶対にこの時期に始めなくてはいけないという事ではありません。もっと大きくなってからでも、親子ともに落ち着いて気長に取り組める時期がベストだと思います。 

 

ただ、おむつで排泄する期間が長くなると、子どもは「おむつ=排泄する場所」という認識を持つようになります。いったん出来上がった認識を、改めて「トイレ=排泄する場所」と修正するのは、大変なケースもあります。また、最初は頻繁にお漏らしして着替える事になるので、着替えや洗濯が楽な春夏がおすすめです。そういった事も考慮しながら、各ご家庭でベストな時期を決めると良いでしょう。 

 

 

 

次回は、トイレットラーニングの進め方、環境の整え方についてご紹介します。 

 

 

(執筆者:伊藤久美子 / AMI0-3歳レベル、日本モンテッソーリ教育綜合研究所3-6歳レベル資格者)

 

 

 

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