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イデー・モンテッソーリ/モンテッソーリ教育を愛する全ての人へ

2018.10.18 田中昌子先生インタビュー 〜モンテッソーリ教育と相良敦子先生との出会い〜


田中昌子(たなかまさこ)先生

ィール

エンジェルズハウス研究所(AHL)所長

上智大学文学部卒。日本モンテッソーリ教育綜合研究所認定資格取得。東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンターにてAM I公認国際モンテッソーリ教師(3~6歳レベル)ディプロマ取得。「モンテッソーリで子育て支援」を合言葉に日本全国及び海外からも参加可能なモンテッソーリIT勉強会「てんしのおうち」を2003年より主宰。朝日カルチャーセンターにて10年間、実践講座を担当。勉強会や講演会を通して、子育てにモンテッソーリ教育を活かす工夫を伝えている。

 

著書に『お母さんの工夫 モンテッソーリ教育を手がかりとして』(文藝春秋、相良敦子氏共著)『親子で楽しんで驚くほど身につく こどもせいかつ百科』(講談社、監修)『マンガでやさしくわかるモンテッソーリ教育』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。

 

 

 

相良敦子先生との日々 

モンテッソーリ教育との出会い

聞き手:あべようこ

– 田中先生とモンテッソーリ教育の出会いについて教えて頂けますでしょうか。

 

「私がモンテッソーリ教育と出会ったのは、相良敦子先生の書かれた『ママ、一人でするのを手伝ってね!』(講談社)でした。主人の転勤でまだ0歳6ヶ月だった長女を連れてハワイに行く直前のことでした。

 

本を読んで、その素晴らしい理念に感動しました。それまでの私は、『子どもとはうるさくて手がかかるもの』としか思えず、仕事をしていた時期は、子どもか仕事かという選択肢だったら、迷わず仕事を選んでいたような人間でした。

 

ですから、本当にモンテッソーリ教育に出会えて私の人生は救われました。」

 

– そうだったんですね。モンテッソーリ教育の第一人者であった、故・相良敦子先生と、大変親しかったとお聞きしています。相良先生とはどのように出会われたのでしょうか。

 

「ある時、小さな子どもがいてもモンテッソーリを勉強できる通信教育があることを知り、日本モンテッソーリ教育綜合研究所で学び始めました。そして1年目のスクーリングの講義に相良先生がいらしてくださり、150名あまりの受講生の一人として、『児童観』という講義を受けました。今でも思い出せるほど、本当に素晴らしい講義でした。

 

課題のレポートを提出して、しばらくしたある日、相良先生から、突然『京都の相良です。あなたのレポートを読みました。』と自宅にお電話がかかってきました。雲の上の方でしたから、大変驚きました。

 

翌年のスクーリングで初めて個人的にお話することができ、それ以来、折に触れ、やりとりをさせていただくようになりました。

 

相良先生から返却いただいたレポートには、赤字でたくさんのコメントと100点花丸が書かれており、今でも私の宝物になっています。」

 

– それは素晴らしい宝物ですね。

 

「最初の出会いから25年間、ずっと私は相良先生の背中を追い続けてきました。もちろん追いつけるはずなどもなく、常に迷い、悩み、逡巡していましたが、そんな私を、いつも闇を照らす一筋の光のように相良先生は導いてくださいました。」

 

– お元気に全国を飛び回っていらした相良先生と、お亡くなりになる直前にもお話しされたと伺いました。

 

「はい。日本モンテッソーリ協会(学会)創立50周年記念大会の私の研究発表で、相良先生が司会をしてくださることが決まっておりましたので、あの夜も電話でさまざまなお話をすることができました。ただ、いつもは2時間あまり夢中でおしゃべりするのですが、とてもお疲れであることが感じられ、50分ほどでおしまいにしました。

 

まさかその数時間後に、逝ってしまわれるなんて思ってもおりませんでしたので、本当に信じられない想いでした。」

 

– 私もいまだに信じられない思いでおります。

 

「私にとりましては、本当にモンテッソーリ界における母でしたから、今でもふとしたときに、涙がこぼれてしまいます。でも、相良先生はお亡くなりになる前に本当にたくさんの種を蒔いていかれたということを、日に日に感じます。

 

このように私自身はさしたる取り柄もない人間ですが、いつも良い出会いに恵まれ、スタッフやサポーターなど、私のために何かしてくださるという方に囲まれ、幸せです。今後も、モンテッソーリ教育の普及に向けて、頑張っていきたいと思っています。」

 

 

 

マンガでやさしくわかるモンテッソーリ教育  

モンテッソーリ教育の漫画化 

– そして田中先生、この度は、『マンガでやさしくわかるモンテッソーリ教育』のご出版おめでとうございます。

 

「ありがとうございます。」

 

 

 

– ほぼ同時に、私が漫画を描かせていただいた、相良敦子先生原作の『マンガ モンテッソーリの幼児教育 ママひとりでするのを手伝ってね!』(河出書房新社)も出版されました。くしくも相良先生のまわりで、2冊のマンガがほぼ同時に出版されることになったわけですが。

 

「マンガのお話を頂いた時に、相良先生もご著書を漫画化される予定であることを知りました。そこで先生に内容がかぶってしまうのではないかとご相談したところ、『大切なことは繰り返し出てくることが重要であり、2つのマンガが同時に出ることは、むしろ相乗効果になる!』と力強くおっしゃってくださいました。

 

事実、出版後の6月下旬から8月上旬頃までは、大きな書店ではどこでも2冊のマンガが並んで平積みされており、それを見て本当に胸が熱くなりました。モンテッソーリ教育の一般化を望まれていた相良先生がご存命でしたら、どれほどお喜び下さったことでしょう。」

 

– そうですね。では今回のご著書の出版までのお話をお伺いできますか?

 

「『マンガでやさしくわかるモンテッソーリ教育』を出版してくださったのは、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)という出版社で、1949年から発売されている『能率手帳』で有名な会社です。

 

私も最初は、『手帳の会社がなぜ?』と思ってしまったほどですが、実は出版部門の方が手帳よりも歴史が古いそうで、この『マンガでやさしくわかる~』シリーズは、お話をいただいたときに、すでに50 作以上が刊行されていました。」 

 

– 執筆に当たって苦労された点はありますか?

 

「モンテッソーリ教育と前後するように、子育て関連のマンガも相次いで出版されましたが、執筆前には『統計学』『簿記』といったビジネス関連のマンガしかなく、手がかりになるものがありませんでした。

 

一方で、マンガの間に解説をはさむというスタイルも、全体のページ数もマンガと解説の割合もあらかじめ決まっておりました。また、主人公がメンターと出会って成長していくといったストーリーも、このシリーズに共通するパターンでしたので、そこにどのようにモンテッソーリ教育を織り込んでいくのかということは、大変に難しい問題でした。」

 

– 工夫された点はどんなところでしょうか?

 

「モンテッソーリ教育をお伝えするにあたっては、どうしても欠かせないキーワードがいくつもありますが、今回は『敏感期』『観察』『正常化』の3つをピックアップし、ストーリーの中に組み込んでいくという工夫をしてみました。そのためには、さままな段階の子もの姿が必要になってくるため、主人公には3人の子もがいるという設定にしました。

 

マンガだけを拾って読んでもポイントだけはつかめるようにすると同時に、『深く知りたい』『きちんと理解したい』という方のために、マンガに呼応するような解説をわかりやすい言葉で書きました。ただ、文章ばかりではマンガということで読み始めた方には重くなるので、表やイラスト、写真なども解説部分に挿入しました。」

 

– 特にこだわった点はありますか?

 

「こだわった点は、提示と教具で

 

提示を正確に分析すると、マンガのコマ数がものすごい数になってしまいます。いったんすべての提示をコマ撮りのように写真で撮影してから、カットするコマと残すコマを選び、それをマンガにしてもらいました。

 

教具についてもすべての写真を撮り、角度や配置にまでこだわり、何度も描き直していただきました。マンガを担当されたチームのみなさまには、本当にご迷惑をおかけしましたが、おかげさまで精密な絵となりました。実際のモンテッソーリ園を見たことがないという読者も多いと思いますが、雰囲気だけでも伝わったのではないかと自負しています。」

 

– ママがリアルに共感できるであろうエピソードが盛り込まれていますね。

 

「エピソードのいくつかは、実話が元になっています。たとえば、主人公がメンターであるモンテッソーリ教師の著書を大学時代の友人にもらったという場面がありますが、これは私自身の実話です。私がモンテッソーリ教育と出会ったのは、今回あべさんが手掛けられたマンガの原作となった相良敦子先生の『ママ、一人でするのを手伝ってね!』と申し上げましたが、それをくれたのは大学時代の友人です。

 

私が長女を生んで四苦八苦していたとき、彼女は既に2人の男の子をモンテッソーリ園に通わせていて、『とてもいいわよ』と勧めてくれたのです。」 

 

– 先生ご自身の実話だったんですね。

 

「そうなんです。そして5歳児が正常化に至る場面は、これも相良敦子先生との出会いのきっかけとなった、教師養成コースのレポートに書いた私の実体験がベースになっています。相良先生の『幼児期には2度チャンスがある』(講談社)には、子育てに悪戦苦闘する私の拙いレポートがそのまま掲載されています。

 

子どもたちが家庭でするお仕事のほとんどは、IT勉強会(※)の会員の方からいただいたお写真をそのままマンガにしましたので、どれもリアリティがあると思います。表紙にも家庭でできるお仕事を入れてもらいました。」

 

※田中昌子先生の主催されているモンテッソーリIT勉強会「てんしのおうち」

【HP】https://www.montenshi.jp/

 

(「マンガでやさしくわかるモンテッソーリ教育」のモデルになった子どもたち)

 

– この本を特にどんな方に読んで頂きたいですか?

 

「一番読んでいただきたいのは、モンテッソーリ教育にまだ出会ていない方で私は、モンテッソーリ教育に出会えるかどうかというのは、人生が変わるほどの意味があると思っています。

 

私自身の人生も、たった1冊の本で大きく変わりました。今、私とともにモンテッソーリ教育の一般化のために頑張ってくれているスタッフやサポーターも、確実に人生が変わったと言っています。勉強会の卒業生の中からも、モンテッソーリ教師になってしまう人が続出しています。

 

モンテッソーリの子どもの見方やたすけ方というのは、一般とは全く逆です。普通は教育というと、大人の方がよくわかっていて子どもに教えるものですが、表紙に入れた言葉『子もの成長に必要なことは、べて子もが教てくれる!』を読んで、『おや?』と興味を持って手に取っていただけたら嬉しく思います。」

 

– 他にはどんな方におすすめしたいですか?

 

「次に読んでいただきたいのは、子育てに悩み、苦しでいる方でモンテッソーリの理念というのは普遍的なものですから、うまくいっていらっしゃる方は、モンテッソーリと銘打たなくとも、自然に取り入れることができている場合があります。

 

でも、多くの方は主人公と同じように、また、私がかつてそうだったように、子どもを理解できず、大人と子どもの戦いに明け暮れています。キーワードを知るだけで、ずっと子育てが楽になっていくと思います。」

 

– 私もそう思います。モンテッソーリを知らない方、子育てに苦しむ方に読んでいただきたいですね。

 

「そして、最後におすすめしたいのは『モンテッソーリ教育を実践すると、勉強ができる子になる、良い子になる、社会的な成功につながる』と思っていらっしゃる方です。

 

将棋の藤井聡太さんのおかげでモンテッソーリ教育の知名度は格段にアップし、グーグルやアマゾンの創業者といった有名人が受けた教育としても注目されるようになりました。それ自体は悪いことではなく、モンテッソーリ教育に興味を持っていただけるきっかけとなりますから、むしろ喜ばしいことです。

 

ただ、そうした表面的な理解で終わってしまうのは、あまりにももったいないことですし、そこを目的てしまうと、その時点でモンテッソーリ教育ではなくなてしまうか。モンテッソーリ教育は、人格の形成、生きることそのものに関わる理念であり、さらに平和へとつながている壮大な教育でマンガのラストで、わずかなページ数ではありましたが、そこを描いてもらうことができました。

 

また、モンテッソーリの願いであった地球が1つの家族であるという象徴として、表紙にも地球儀を入れました。ぜひそういったところにも注目して、読んでいただければ幸いです。」

 

– 田中昌子先生、ありがとうございました!

 

 

次回は、田中昌子先生の主催されているモンテッソーリIT勉強会「てんしのおうち」についてお伺いします。

(文・編集 あべようこ

 

 

 

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